さちこです。夫と姉の在宅介護を5年間続けてます。
夫の認知症が進行していました。5年前に軽度の物忘れが出てから、3年前には中度と診断され、最後まで在宅介護で過ごしました。
ある時、体力の低下や医療的な不安から、老人ホームに預ける決断をしました。「家での介護だけでは限界かもしれない」と自分に言い聞かせながらの決断でした。
老人ホームに預けた日々
最初の頃は、正直ほっとしました。食事や入浴、服薬管理がしっかりしていて、夜も安心できると思ったからです。
でも、夫の表情はどこか寂しげでした。毎日「家に帰りたい」と言うのです。面会に行くと、食事のペースが合わなかったり、好きなテレビ番組を見られなかったり、些細なことでも不満そうでした。
「さちこ、やっぱり家に帰りたいな…」
夫の声を聞くたびに胸が痛みました。私は複雑な気持ちでした。施設での安心と、夫本人の気持ち――どちらを優先するべきか悩みました。夜、家に帰ったあと、静かに夫のことを考える時間が増えました。「やっぱり家で過ごさせてあげたい」と心が揺れる毎日でした。
家族での話し合い
長女や近所に住む姉と相談し、在宅に戻すことを現実的に検討しました。
- 夜間徘徊や転倒のリスク
- 服薬管理や食事の準備
- デイサービスや訪問介護の活用
これらを整理し、実際に在宅で対応できるかどうかを慎重に確認しました。幸い、姉もデイサービスを利用しながら生活しており、私の経験もあるので、夫の安全を確保できそうだと判断しました。
老人ホームから在宅介護への切り替え
夫を家に戻した初日は、正直不安がありました。でも、家に入った瞬間、夫はほっとした表情を見せました。
「やっぱりここが落ち着くな…ありがとう」
その言葉を聞いたとき、涙が出そうになりました。私も胸が温かくなり、肩の力が少し抜けました。
老人ホームから在宅に切り替えるときの手続き
最初は「書類も面談も多くて大変そう」と思いました。順番を押さえて説明します。
ステップ1:施設との退所手続き
退所を決めたら、まずは施設に連絡しました。私が通う老人ホームでは、退所希望日の1か月前までに「退所届」を提出する必要があります。
実際に面談に行くと、施設スタッフが丁寧に説明してくれました。
- 退所日と引き取り日時の確認
- 残り日数分の費用や居室清掃料の案内
- 在宅復帰に向けて、必要なサービスのアドバイス
スタッフとの面談で安心したことは、「在宅に戻すまでの間、デイサービスや訪問介護も含めて調整してくれる」ということでした。
荷物の整理もこのタイミングで。衣類や私物を自宅に持ち帰る際、家の収納や生活動線を意識しながら整理しました。ちょっと大変ですが、戻した後の生活がスムーズになる大事な作業です。
ステップ2:役所への申請
施設手続きと並行して、介護保険サービスの変更手続きも必要です。私は区役所の介護保険窓口に行き、「在宅サービスへの切替」を申請しました。
ケアマネジャーさんからはこう説明されました。
「在宅でどのサービスを利用するか決めてから申請するとスムーズです。夜間の安全や転倒防止も一緒にプランに組み込みましょう」
この申請には、夫の介護度の再評価が必要です。訪問調査で体力や認知症の状態を確認してもらい、その結果をもとにケアプランを作ります。
ステップ3:ケアプラン作成
ケアマネジャーさんと一緒に、次のようなプランを組みました。
- 訪問介護:服薬確認、入浴サポート、買い物代行
- デイサービス:日中の外出・運動・交流の時間確保
- 見守りカメラ:夜間徘徊や転倒への対応
- 福祉用具:手すり・転倒防止マットの設置
初めは「こんなに多くの手続き、ちゃんとできるかな…」と不安でした。でもケアマネジャーさんのサポートもあり、家族だけで全てやる必要はありませんでした。
在宅に戻して感じたこと
老人ホームに預けた経験は、私たち家族にとって必要なステップでした。専門スタッフの力で体調や介護の見極めができたからこそ、安心して在宅復帰の判断ができました。
でも、夫本人の希望を尊重して家に戻したことで、毎日の表情や会話に安らぎが増えました。家で過ごす時間、家族と触れ合う時間、庭での散歩や季節の花を眺める時間――どれも何物にも代えがたいものです。
介護は決して簡単ではありません。でも、家族と一緒に暮らすことで、心の満足感や生活の自由を取り戻せることもあります。老人ホームか在宅かで迷っている方には、夫本人の希望を尊重しつつ、家族で支え合いながら最適な環境を選ぶことをおすすめします。
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